澤本指圧鍼灸院のブログ

高知県長岡郡本山町にある澤本指圧鍼灸院のブログです。

リハビリとマッサージの違いと特徴(追記あり)(再掲)

※この記事は、Tumblrで私が書いていた澤本洋介のblog(2013/1/16)の記事に加筆修正し転載したものです。

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私はマッサージ師をしています。
今までに何回か「リハビリとマッサージの違いは何ですか?」とご質問をいただだいたことがあります。社会の高齢化により、似たような状況で使われることも増え、分かりにくいと感じている方も多いかもしれません。今日は、そのご質問について、私なりに考えを書いてみます。

 

行為を表す言葉・目的を表す言葉

私は、その違いは言葉の性質に注目すると分かりやすいと思っています。

マッサージという言葉は、一般的には、体を摩ったり揉んだり押したり叩いたりする「行為・手段」を意味して使われています。

リハビリという言葉は、機能の回復や環境の変革など「目的・考えかた」を意味して使われています。(言葉の意味も時代によってかなり変化しています。)

マッサージ師は、マッサージという「行為」を色々な「目的」のために行います。
リラックスであったり、美容であったり、痛みの緩和であったり、色々です。
専門の目的に特化したマッサージ師も増えています。 

リハビリ専門職の療法士の方は、リハビリという「目的」のために色々な「行為」を行います。
歩行訓練であったり、関節運動であったり、筋力トレーニングであったり、色々です。
後述しますが、患者さん利用者さんに能動的に動いてもらう行為が多いです。 

リハビリ目的のマッサージとなると、少しわかりづらくなりますが、ジョギング(行為)とダイエット(目的)ほどに性質が違う言葉だと考えるとわかりやすいと思います。

ジョギングの目的は、体力増強であったり、大会出場であったり、ダイエットであったり色々です。
ダイエットの手段も、カロリー制限だったり、スイミングだったり、ジョギングだったり色々です。
場合によっては、ダイエットのためにジョギングすることもありえます。

こうした言葉の種類に注目すると、違いがわかりやすくなると思います。

リハビリに欠かせない「能動性」

リハビリの現場では、その目的のために色々な行為が行われています。
マッサージが行われることもありますが、多くの場面では、患者さん利用者さん自身に能動的に動いてもらう行為が行われています。
たとえ動かなくても、能動的に動かそうと意識することが、神経のリハビリとして重要です。
場合によっては、辛く苦しい行為もありますが、リハビリの療法士の方は、利用者さん患者さんのモチベーションを高めるように、気持ちに寄り添います。
それには高い専門性と熱意が必要です。

リハビリとマッサージの混同による誤解のひとつとして、マッサージのように受動的に受ける行為のみをリハビリと思ってしまう問題があります。
この誤解は利用者さん患者さんの経過にとって非常に深刻なマイナスとなります。

リハビリ目的のマッサージはありますが、リハビリ=マッサージではありません。

「リハビリマッサージ」という呼称を使用することの是非について、業界内では議論があります。私は法的な問題以上に、利用者さんの誤解の一因となる恐れがあると感じていますので、使わないようにしています。

追記: リハビリマッサージ問題について補足
ご意見をいただきましたので、補足いたします。
介護保険制度の始まる以前、療法士制度の始まる以前、リハビリという概念が一般に広まる以前から、マッサージ師による在宅でのリハビリ行為は行われていました。
先輩方の担ってきた役割について、私はとても尊敬しています。
その歴史について、分かりやすいブログ記事を見つけましたのでご紹介します。 
 游氣・ゆうき:blog「リハ医の独白」へのコメント 

当時の患者さん(脳卒中後遺症など)は、退院後為す術もなく畳の上に布団を敷いて寝ておられました。訪問するのはマッサージ師、たまに保健師や主治医。マッサージ師は能力以上に大変頼りにされていました。私も寝返り練習から四つ這いなど指導し、小机を用いて立ち、椅子に腰掛けることを目指しました。ある方は行きつけの喫茶店に行きたいという目的があったので室内歩行ができるようになった後、息子さんと一緒に喫茶店までの所々に腰掛けを置き、ついに目的を達成できたこともありました。患者さんは入り口で「皆さんお久しぶりです」と挨拶、知人も駆け寄って男泣きでした。

現在も、能動的なリハビリ行為を積極的に行なっているマッサージ師も多いです。
リハビリは、理念的にも法律的にも、その行為及び、名称は独占されるべきものではないとのご意見もあります。

様々な立場の方により、広く議論されることが大切と思います。

「気持ちよさ」を目的とするマッサージ 

リハビリ職のマッサージは、おもに医療保険と介護保険の制度の上で行われています。
マッサージ師のマッサージは、おもに自費の市場と、一部医療保険の制度の上で行われています。

マッサージという行為自体は、制度の生まれるはるか以前から世界中にありました。
その歴史はとても古く、一説には人がサルだった頃のグルーミングにまで遡る原初的・本能的な行為だとも言われています。

なぜそれほど古くから世界中にあるのかというと、大きな理由として「気持ちよさ」があると思います。
私はそれをマッサージの大きな価値(目的)のひとつと考えています。 

リハビリ目的のマッサージでも気持ちよさはありますし、私は医療的にも重要な感覚だと思っています。

ですが、医療保険や介護保険などの社会保障制度の上で、気持ち良さを「目的」としたマッサージは制度の趣旨とは違ってきます。
気持ちよさと医療的効果についての研究や、社会の要求によって状況が変わる可能性はありますが、現時点では、「気持ち良さ」を目的としてマッサージを希望される場合は、自費で行われるべきだろうと思います。

日本のマッサージ師に欠かせない「ツボ(経穴)」

リハビリ職の療法士とマッサージ師のマッサージの大きな違いとして、私は「ツボ、経絡、気の流れ」などの東洋医学的概念の有無があると思っています。

日本のマッサージ師は法的には「あん摩マッサージ指圧師」という資格名です。
その国家資格のカリキュラムには東洋医学に関する科目があり、それが日本のマッサージのユニークな特徴のひとつです。

多くのマッサージ師にとって、ツボとは欠かせない概念だろうと思います。
少なくとも私は、リハビリを目的としたマッサージでも、何を目的としたマッサージでも、筋肉や神経と同等に経穴(ツボ)へと意識が向かいます。
これは日本のあん摩マッサージ指圧師の特徴的な専門性のひとつだと私は思います。

東洋医学の面白さについては、また別の機会に書いてみたいと思います。

以上、長くなりましたが、それぞれに違いと特徴を並べてみました。
あくまで個人的な意見ですので、異論反論も多くあるだろうと思います。
リハビリ専門の療法士の皆様と、お互いに協力し合いながら、切磋琢磨していきたいと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 

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